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機械と彫刻芸術の融合 ニキ・ド・サンファルの夫 ジャン・ティンゲリー

動く芸術作品「キネティック・アート」で見る人を楽しませる作品を作り続けた、ジャン・ティンゲリー。
ジャン・ティンゲリーの作品「噴水の劇場」や「自動人形の噴水」、おしどり夫婦として有名なニキ・ド・サンファルとのエピソードをご紹介します。

機械仕掛けの動く彫刻作品を芸術にまで高めたジャン・ティンゲリー。
それまでの彫刻へのアプローチとは全く違う方向から、独自の作品をつくりあげました。

ジャン・ティンゲリーによる機械と彫刻芸術との融合/自動噴水


ジャン・ティンゲリーの作品はバーゼルの「噴水の劇場」(ティンゲリーの噴水)、またポンピドゥーセンターにあるストラヴィンスキー広場の「自動人形の噴水」が広く知られています。
「自動人形の噴水」は女性アーティストのニキ・ド・サンファルと共同制作しました。

機械と彫刻芸術を融合させた芸術家ジャン・ティンゲリーとは?

ジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely, 1925年5月22日~1991年8月30日)はスイスの現代美術、画家、彫刻家です。
1991年没後、長年住んでいたフリブール州ネイルーズで眠っています。彼の墓には動くオブジェが置かれているそうです。
1996年にはマリオ・ボッタの設計による「ティンゲリー美術館」がバーゼルに開館しました。ティンゲリー美術館では、絵画や彫刻だけでなく、機械やビデオアートまでも含まれ、実に彼の膨大な数の作品を展示してきました。

彼は廃物を利用して機械のように動く彫刻を制作することで知られており、キネティック・アート(動く美術作品)の代表的な作家である。またダダイスムの影響を濃く受けており、第二次世界大戦後のフランスで誕生した美術運動、ヌーヴォー・レアリスムのメンバーでもあった。代表的なシリーズに「メタメカニック」(metamechanics) が、その他「メタ・ハーモニー」シリーズ、「死の舞踏」シリーズ、「哲学者」シリーズなどがある。
出典:ジャン・ティンゲリー Wikipedia

ジャン・ティンゲリーは、芸術と女性性を開放させたニキ・ド・サンファルの二度目の夫(1971年ニキ・ド・サンファルと結婚)。おしどり夫婦で有名でした。
ニキ・ド・サンファルの紹介記事→
2人は公私ともにわたってパートナーであり続け、共同制作を多く行いました。
1982年には、ポンピドゥー・センターに隣接するストラヴィンスキー広場に「自動人形の噴水」をニキ・ド・サンファルと共同制作しています。

機械や廃品が自動で動く彫刻 動く美術作品「キネティック・アート」

彼の芸術の最も大きな特徴は、機械や廃材仕立ての彫刻が動くという事です。
「動く美術作品」を指すものとして、「キネティック・アート」という言葉があります。
〈動き〉を取り入れた芸術作品の総称であり、それまでの静的な彫刻に対し、自然力や動力もしくは人力で動くオブジェ全てを指します。
ジャン・ティンゲリーは、このキネティック・アートの先駆者。
風によるモビール作品もこの「キネティック・アート」に含まれますが、ティンゲリーの場合は素材として機械を使い、自動で動くところが非常に特徴的でした。


動く美術作品を初めて制作したのは1954年。1960年にはヌーヴォー・レアリスムの結成に関わり、ニューヨーク近代美術館で開催された展覧会に『ニューヨーク賛歌』を出品しています。
屑鉄を組み合わせて作られた巨大な機械。不器用に動き、音を立てます。その最後には炎上して崩壊していくという仕掛けでした。
国際的にも非常に注目を浴びたと言われています。

1970年代末頃からは、噴水の仕組みが応用されるようになります。
そのうち、ティンゲリーの芸術的表現は次第に水や光が使われるようになり、更に広がりを増していきました。

動く彫刻作品をつくったジャン・ティンゲリー
彼は実は小さな男の子が機械仕立てのおもちゃを楽しむかのようにその作品をつくったのかもしれません。

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