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芸術と女性性の開放! ニキ・ド・サンファルのまとめ

芸術と女性性を開放し、昇華し輝きを放ったニキ・ド・サンファル。
女性をイメージした代表作「ナナ」、イタリア・トスカーナのタロットガーデンなど数々の作品とその背景の物語についてご紹介します。

芸術と女性性を開放し、昇華し輝きを放ったニキ・ド・サンファル
彼女の物語は、男性によって支配された世界の中で開放を模索した一人の女性、一人の芸術家の物語と言えます。

ニキ・ド・サンファルの代表作! 女性すべての化身「ナナ」シリーズ

女性をイメージした「ナナ」はニキ・ド・サンファルの代表作。明るく陽気。おおらかでカラフルでキュート。ユニークなフォルムが印象的です。

いびつに太った大柄女性が踊っているかのような風変わりな造形は友人の妊婦の姿からヒントを得たとされる。そのユニークなフォルムは、原色を多用した斬新な彩色とともに、その後のニキのトレードマークとなり、世界各国の広場などに設置された。
出典:ニキ・ド・サンファルWikipedia

たくさんの女神の中のひとりと言うよりむしろ女神を総称するものとして、もしくは、すべての女性の名前を総合するものとして<ナナ>と名付けている。<ばら色の出産>で『出産の時、女は両性具有の女神となる」(ニキ・ド・サンファル)

また一方で、ニキ・ド・サンファルの作品にはスピリチュアルなものや原始的なものがよく登場してきます。
その為、古代エジプトやバビロニアにあるイニン(ママ)、イナーナ、ナナ、ナナット、ハンナ、イシス、イシュタールなどナナに共通する女神から来ているものと考えられることもあります。
彼女は女性をスピリチュアルな存在としてとらえ、その中に思いを込めて「ナナ」を制作しました。

芸術と女性性を解放!どの美術史の系譜にも属さないニキ・ド・サンファル

ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930年10月29日 – 2002年5月21日)は、フランスの画家、彫刻家、映像作家。
本名カトリーヌ・マリ・アニエス・ファル・ド・サンファル(Catherine Marie-Agnes Fal de Saint Phalle)。
出典:ニキ・ド・サンファルWikipedia

その独自のスタンスと革新的な作品は、20世紀の文化的景観に深い痕跡を残しました。楽しげで、誌的にして強烈ながら、陽気さに溢れ、完全ではなく、何にも分類しえない作品群には、作家自身の人生経験が反映されています(フランス国立美術館連合グラン・パレ総裁ジャン=ポール・クリュゼル)

「ニキというのは時代も空間も超えていて、いつの時代にも通用する作家である。原始時代に生まれていても芸術家だっただろうし、二年何年になっても変わらずに作家である」(美術評論家/東野芳明)

「ニキは民族性とか時代性、地域性を超えている作家だと思う」(ニキ美術館創立者/YOKO増田静江)

ニキ・ド・サンファル感情が放たれていく3つの過程。芸術と女性性の開放へ


彼女の絵画制作の流れはそのまま芸術と感情が解き放たれ、自由になっていく過程でもあります。
今でこそ明るく伸びやかな域に達した彼女の作品ですが、初期は重く鬱積していて、中に溜まった感情をどうにかして吐き出そうとするものでした。

①精神疾患による治療として絵画制作を開始

12歳の頃、実の父親に性的虐待を受けた彼女。幼い頃からの両親の不仲やその他、色々な強いトラウマがあり、最初の結婚をした後も重度の神経衰弱になるなど精神を患います。その治療の中で、最初は絵画制作を始めました。
芸術家となった後も、女性に対する自らの感情や社会からの扱われ方を何度もテーマにしたり、父への複雑な思いを映画にしたりしました。

②射撃絵画:感情を吐き出し、全てをぶちまける

1960年から射撃絵画を制作し発表するようになります。絵の具が詰まった袋を埋め込んだ石膏レリーフを制作し、ライフルから発射された弾丸が当たると絵の具が飛び散る仕掛けになっていました。
若い女性アーティストとライフルという組み合わせは当時センセーショナルであり、一躍話題になりました。

③女性として、芸術家として結びついた相手ジャンティンゲリー

最初の結婚の後、ニキ・ド・サンファルは芸術家ジャン・ティンゲリーと結婚します。その後公私ともにパートナーとして、ともに共同制作もしました。
正規の美術教育を受けてこなかったニキ・ド・サンファルは、彼と出会う事で、彼女の才能を大きく花開かせていく事になります。

ティンゲリーはニキ・ド・サンファルより5歳年上。彼女よりも社会的にも広い視野を持った大人なだけでなく芸術上の先輩でもありましたが、師匠的な存在には決してなりませんでした。彼は芸術に対し、技術よりも夢を重要視していました。また芸術を苦行とせず、どこかユーモラスに楽しみながら芸術表現を行っていた為、ニキ・ド・サンファルはのびのびと芸術と感情を解き放っていけたのでしょう。

芸術と感情の開放は最終形へ タロットガーデン


ニキ・ド・サンファルは、イタリアのトスカーナにタロットガーデンという野外彫刻公園をつくりました。
1970年代後半より制作を開始し、構想から完成まで実に24年を費やし完成しました。
彼女のこれまでの人生全ての感情が込められたニキ・ド・サンファルの芸術の最高傑作と言えます。

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