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70歳の画家が描く、睨みを利かせた雲竜図 京都嵐山・天龍寺と加山又造
雲竜図は、臨済宗のお寺に天井描かれる1匹の大きな龍。何処からその龍を見ても睨まれているように見える「八方睨み」という不思議なものです。
今回は京都天龍寺に描かれた、加山又造が描く指が5本ある躍動感あふれる雲竜図を紹介します。
雲竜図は、臨済宗のお寺に天井描かれる1匹の大きな龍。何処からその龍を見ても睨まれているように見える「八方睨み」という不思議なものです。
今回は京都天龍寺の指が5本ある躍動感あふれる雲竜図を紹介します。
京都嵐山の禅寺、天龍寺とは…
天龍寺は創建1339年、時の室町将軍足利尊氏が、後醍醐天皇の菩提を弔うために開山しました。
京都嵐山でも渡月橋から続くメインストリートの途中にあり、立ち寄りやすい場所。
創建以来8度も焼けており、当時の建築物として残るのは禅堂のみになってしまいました。禅堂を移築し仏殿兼法堂として、現在の法堂が建てられています。この建物の天井に、約9mの龍が描かれています。
海外観光客も圧倒される大迫力、八方睨みの雲竜図
雲竜図と言えば、まずは八方睨みに圧倒されます。
どこから見ても睨まれていると感じるのは、本当に感動します。ちなみにこの「睨み」、このお堂が本来禅堂であるということが理由のひとつ。つまり、この龍の下で多くのお坊さんが禅を行ったのです。さすがの悪心もこの龍の睨みの前では震え上がるのではないでしょうか。
もう1つは歌舞伎の睨みと同じ意味を持ち、厄落としの御利益があるとされています。
天龍寺に描かれた龍、5本指の理由とは?
龍は指の数で格が変わるというのはご存知ですか?
3本の指は庶民、4本の指は貴族、5本の指は皇帝とされています。
日本で昔に描かれた雲竜図は中国に敬意を表して、3本指に描いています。京都臨済宗妙心寺(狩野探幽作)や京都臨済宗相国寺(狩野光信)は3本です。
天龍寺(1997年加山又造作)や建仁寺(2002年小泉淳作作)は現代に描いたので、5本指の皇帝の龍となっています。
雲竜図の制作を70歳で挑んだ加山又造
京都天龍寺の雲竜図を描いた加山又造は京都の西陣出身。
西陣織の図案を作る職人だった父の背中を見て育ったためか、鮮やかさとどことなく日本の伝統を感じる作品を世に多く出している芸術家。
加山又造が雲竜図を描いたのは70歳の時。しかも、最も得意な日本画や版画といった技術ではなく、水墨画のにじみやぼかしの技法を使って描き上げています。
70歳にして独自の技法をさらに進化させる力は、生命力そのものといっていいでしょう。その生命力を受けた天龍寺の雲竜図は、他の雲竜図と比べても独特の躍動感と魅力にあふれています。
その美しさと壮大さをぜひ、京都嵐山を訪れる際は目に焼き付けてきてください。
臨済宗天龍寺派大本山 天龍寺
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
参拝時間:8時30分~17時30分(10月21日~3月20日は17時閉門)
※法堂「雲竜図」は特別公開
日程などの詳しい情報は、公式サイトでご確認ください。
平成29年 特別公開について >>>
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