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イタリア・ローマの美術館 ドーリア・パンフィーリ美術館に行ったら絶対見るべき作品

イタリア・ローマの美術館を、現地在住キュレーターが見どころを解説します。ドーリア・パンフィーリ美術館は、有名なスペイン広場の近くにあります。
そこで見逃してはいけない作品3つを厳選し、みどころをご紹介します。

ローマに観光に来てショッピング、といえばスペイン階段周辺に行かれるかたが多いでしょう。
有名なブランド街と交わる「コルソ通り」は、観光客のみならずローマ市民もお買い物に訪れる目抜き通り。
その一角にあるのが、「ドーリア・パンフィーリ美術館」です。
ローマ法王を輩出した数々の貴族たちの所有であったこの宮殿、17世紀からは法王インノケンティウス十世の実家であるパンフィーリ家の所有となり、その縁戚に連なる貴族たちの美術コレクションも加わって質、量ともにローマでも有数の美術館となりました。
現在もこの美しい宮殿には、ドーリア・パンフィーリ家の当主ドン・ジョナサンが住んでいます。

カラヴァッジョ作 「エジプトへの逃避途上の休息」

カラヴァッジョ『エジプトへの逃避途上の休息』(1597年頃)


20代半ばのカラヴァッジョが1595年に描いたこの作品、カラヴァッジョにしては珍しく作品全体に明るい光が満ちています。
イエス・キリストが生まれた後、ヘロデ王が「救世主の誕生」したことを知り、2才以下の幼児を殺害しようとします。それを逃れるために、ヨセフ、マリア、生まれたばかりのイエスがエジプトに逃亡するワンシーンを描いています。

ウフィッツィ美術館に残るカラヴァッジョの『イサクの犠牲』とともに、カラヴァッジョが背景に風景を描いている珍しい作品です。白い肌が輝く天使、マリアとその腕のなかで無心に眠るイエス、楽譜を天使に広げるヨセフが、リアルな風景を背に描かれています。楽器や楽譜の克明な描写から、音楽を愛好していた枢機卿の注文ではという説もあり。1983年、音楽研究家により、ヨセフがもつ楽譜は1519年にフランドルの作曲家ノエル・ボウデビンが発表したモテットであることが判明しています。

ベラスケス作 「法王インノケンティウス十世の肖像」

ベラスケス『教皇インノケンティウス10世』1650年


スペイン・バロックの巨匠ディエゴ・ベラスケスが、1650年に2度目のローマ旅行のさいに描いた法王の肖像画。インノケンティウス十世は、パンフィーリ家の出身でした。法王の衣服が麻製であることから、1650年の夏に描かれたとされています。
伝説によると、完成した肖像画を見た法王は「あまりに似すぎている!」と叫んだと言われています。

気むずかしい顔をした法王を満足させたベラスケスの作品は、そのまま法王の実家であるパンフィーリ家のコレクションに残りました。肖像画の傑作中の傑作、といわれる「法王インノケンティウス十世の肖像」は、後世の芸術家にも大きな影響を与えました。とくに、20世紀の画家フランシス・ベーコンが、この肖像画をモチーフにした作品群が有名です。

ラファエロ作 「アンドレア・ナヴァジェーロとアゴスティーノ・ベアッツァーノの肖像」

描かれた二人の男性の名前を聞いてもぴんと来ませんが、二人ともルネサンスの時代に活躍した人文学者であり、詩人であり、ラファエッロとも親しい友人でした。この絵を所有していたのは、ラファエロとも描かれた二人とも親しかった詩人で枢機卿のピエトロ・ベンボです。二人の男性がこちらを向き、三人目の友人の存在を感じさせる作品になっています。ラファエロは同時期、自分自身と友人の肖像画も描いており、抑えた色調で男たちの友情を表現することに凝っていたのでしょう。ナヴァジェーロが亡くなった後、この絵を所有していたピエトロ・ベンボは、ベアッツァーノに作品を譲りました。穏やかな男性の表情と沈んだトーンの色彩が、安らぎを与えてくれるラファエロの傑作です。

ドーリア・パンフィーリ美術館には、そのほかティツィアーノ、ロレンツォ・ロット、フィリッポ・リッピなどの作品も所有しており、豪奢な宮殿や礼拝堂も見学可能です。
また、コルソ通りと並行して走る「ガッタ通り」からは、美術館内にある喫茶室だけの使用も可能です。観光途中の休憩に利用してみてはいかがでしょうか。また、美術館のオリジナルグッズが購入できるブックショップは、美術館入館のちケットを購入しなくても利用できます。

ドーリア・パンフィーリ宮殿 ( Galleria Doria Pamphilj )
入場料:12ユーロ
住所:
Via del Corso, 305, 00186 Roma
TEL 06 679 7323
公式サイト
http://www.doriapamphilj.it/roma/

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