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イタリア・ローマの彫刻めぐり ミケランジェロとベルニーニおすすめ観光スポット

ローマという街の景観の歴史を語る上で外せないのが、ミケランジェロとベルニーニ。
ローマの街のどこからでも目印となるサン・ピエトロ大聖堂のクーポラはミケランジェロ、ローマでもその美しさで有名なナヴォーナ広場の設計はベルニーニ。それ以外にも、ローマの街を歩いていると、ミケランジェロとベルニーニの息吹をあちらこちらで感じるのです。
彫刻家であり建築家であり画家でもあった多才な二人。二人が作り上げた美しい彫刻を、美術館ではなく教会で見学してみましょう。

ローマという街の景観の歴史を語る上で外せないのが、ミケランジェロとベルニーニ。
ローマの街のどこからでも目印となるサン・ピエトロ大聖堂のクーポラはミケランジェロ、ローマでもその美しさで有名なナヴォーナ広場の設計はベルニーニ。それ以外にも、ローマの街を歩いていると、ミケランジェロとベルニーニの息吹をあちらこちらで感じるのです。
彫刻家であり建築家であり画家でもあった多才な二人。二人が作り上げた美しい彫刻を、美術館ではなく教会で見学してみましょう。

アラフォーのミケランジェロが彫り上げた 「モーゼ」

1505年、自己顕示欲の強かった法王ユリウス二世は、自らの死後の墓所をサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会に設置することを決意。ミケランジェロをはじめとする芸術家たちに制作を命じます。ミケランジェロは1513年頃に、雄大で美しい「モーゼ像」を制作しました。最近の研究で、ミケランジェロは25年後の1542年にモーゼをわずかに左向きに修正したことがわかっています。一度彫り上げた大理石の像を左向きにする、という芸当は美術史上でもミケランジェロのみが可能であったそうです。また、「モーゼ像」の表面は、場所によって研磨の仕方が異なっており、上部の窓からはいる光の反射具合と研磨の相違が、「モーゼ像」に深い陰影を与えていたことも明らかになりました。500年前と変わらぬ白さで輝く「モーゼ像」、ぜひ鑑賞してみてください。

『モーゼ』ローマ教皇ユリウス2世霊廟の彫刻(1513年 – 1515年頃) サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ(ローマ)

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会
入場料:無料
住所:
Piazza di San Pietro in Vincoli 4/A – 00184 ROMA, イタリア
公式サイト:
http://www.vicariatusurbis.org/?page_id=188&ID=841

アラフィフのベルニーニが作り上げた傑作「聖テレジアの法悦」

映画「天使と悪魔」にも登場したサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会。教会に入り左側にあるのが、バロックの天才ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの傑作と呼ばれる「聖テレジアの法悦」です。1650年頃の作品で、バロック美術の最高傑作のひとつと呼ばれています。スペイン出身の尼僧テレジアが、天使の矢を心臓に受け苦痛と甘美を感じるという劇的なシーンです。両際には、このシーンの証人のように礼拝堂の注文主であるコルナーロ家の人々が天使と聖テレジアを見つめている彫刻もあります。聖テレジアの恍惚の表情、残酷なまでにあどけない天使の表情は、円熟期にあったベルニーニが深い精神性まで表現した作品として、後世の芸術家にも大きな影響を与えてきました。彫刻自体は150センチ、と決して大きくはないのですが、圧倒的な迫力で見るものに迫ってきます。

Ecstasy of St Theresa, 1652, by Gianlorenzo Bernini. Cornaro chapel, Santa Maria Della Vittoria church in Rome.

サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会
入場料:無料
住所:
Via 20 Settembre, 17, 00187 Roma, イタリア
公式サイト:
http://www.chiesasantamariavittoriaroma.it/

ミケランジェロが惚れ込んだ古代ローマ彫刻の傑作「マルクス・アウレリウスの騎馬像」

ルネサンスやバロックの時代の彫刻家たちが大きな影響を受けたのが、古代ローマの遺跡から発見される数々の彫刻でした。バチカンの至宝と呼ばれる「ラオコーンの群像」が、1506年に発見されたさいには、当時の芸術家たちはショックのあまり制作意欲を失ったと伝えられています。
現在、カンピドーリオの丘にある「マルクス・アウレリウスの騎馬像」は、レプリカです。本物は、カンピドーリオの丘の上にある「コンセルヴァトーリ美術館」に置かれています。オリジナルの起源は西暦176年。フォロ・ロマーノに設置されていたといわれる「騎馬像」は、キリスト教の時代にはキリスト教を公認した「コンスタンティヌス一世」と誤解されたゆえに、破壊されることなく生き残ったという逸話があります。ミケランジェロはこの古代の騎馬像に惚れ込み、1539年、自らが設計したカンピドーリオ広場の中心に騎馬像を据えました。円熟した皇帝の威風堂々たる騎馬像は、広大なローマ帝国を統べる第一人者にふさわしいエレガンスです。
コンセルヴァトーリ美術館とカピトリーニ美術館には、古代ローマの彫刻の傑作がずらり。世界史の教科書にも登場する作品がいくつもあります。ぜひ鑑賞してみてください。

By Radomil (talk · contribs) (Self-photographed) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)], via Wikimedia Commons

カピトリーニ美術館(入場料15ユーロ)
入場料:15ユーロ
住所:
Piazza del Campidoglio, 1, 00186 Roma, イタリア
公式サイト:
http://www.museicapitolini.org/

※記事内の情報は、2017年5月現在のもの。最新情報は、各美術館公式サイトでご確認ください。

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