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宮崎駿のアニメに登場する生き物を彷彿とさせる「ヒエロニムス・ボス」幻想の世界

アルチンボルドなど多くの有名画家が影響を受けた、ヒエロニムス・ボス。
オランダ出身のヒエロニムス・ボスは、2016年には500年忌を迎えました。
時間を超えて世界中の人々を魅了する、ヒエロニムス・ボスについて紹介いたします。

アルチンボルドなど多くの有名画家が影響を受けた、ヒエロニムス・ボス。
作家宮本輝の作品「花の降る午後」に、ヒエロニムス・ボスが描いた代表作「愉楽の園」について
「すぐれた抽象性というものは、細微の緻密なリアリズムが核になっている」と語られています。
世界中の人々を魅了する、ヒエロニムス・ボスについて紹介いたします。

ヒエロニムス・ボス『快楽の園』Hieronymus Bosch [Public domain], via Wikimedia Commons

ヒエロニムス・ボスの名前の由来とは…

昨年2016年は、ヒエロニムス・ボスの500年忌。
1453年、オランダ南部のスヘルトーヘンボスで生まれた彼は、本名をヒエロニムス・ファン・アーケンといいます。
後年、知られるようになる「ヒエロニムス・ボス」という名は、故郷の名前に由来をしているのです。ボスの故郷スヘリトーヘンボスは、ボスを故郷の誇りとして10年近くかけて500年忌イベントを計画したそうです。

イメージ画像:オランダの風景

「偽物」も多く、真贋論争が絶えないヒエロニムス・ボスの作品

芸術家としていったい誰に師事をしたのか、ヒエロニムス・ボスの芸風がどこから生まれたのか、現在までさまざまな謎が残っています。推測では、13才頃から画家としての修業を開始し、ユトレヒトやハーレムなどのオランダ各地で初期フランドル派の作品に触れ、その影響を受けたのでは、と言われています。しかし、その後ボスが確立していく彼の作風は、先例のない特異なものになっていきます。色彩も構図も、500年の年月を感じさせないボスの斬新さは、近代の芸術家たちにまで大きな影響を与え続けています。

また、ボスは作品に自分のサインや日付を入れたり入れなかったりという気まぐれ名面がありました。ヒエロニムス・ボスの作風を細微にいたるまで模倣した「偽物」も数多く存在します。「偽物」も真に迫っていることが多く、真贋論争が絶えない芸術家なのです。

この作品も、ボスの本物か彼のスケッチをもとに別の人物が描いたのか問題視されています。

ボスが描く解釈不可能な「幻想世界」、すべてに意味がある?

ヒエロニムス・ボスの特徴は、その独特の色彩感覚や微に入った描写に加え、想像力豊かな生物や人間像にあります。
ユーモアがあるように見えて実は怖しい描写であったり、軽やかな筆遣いでありながら奥の深さを感じたり、官能的でありながら峻厳性があったり、相反する要素が絵の中に同居しています。

ヒエロニムス・ボス『放蕩息子』Hieronymus Bosch [Public domain], via Wikimedia Commons


彼が描いた数え切れないほどの人物像や生き物は、ヨーロッパに古来伝わる言伝え、聖書のエピソード、占星術や錬金術の知識から生まれており、現代では解釈不可能な描写も多々あります。幻想的に見えて、実はすべてに意味があるのです。

敬虔なキリスト教徒であったヒエロニムス・ボス

ファンタジーがあふれているように見えるボスの作品は、実は当時のキリスト教会や腐敗した社会への刷新を強く求めるメッセージ性が込められているとも伝えられています。どこからはじまりどこで終わるのかもわからない作品なのに、奇妙な生き物や人間の姿にいじらしさも感じるこの不思議。
キリスト教会への批判を持っていても、ボス自身は敬虔な信徒であり、30代から亡くなる63才まで信者会のメンバーとして熱心に活動していました。信者会のために、画家として仕事をしたという記録も残っています。

スペイン王に愛されたヒエロニムス・ボスの作品

謹厳なカトリック教徒であるスペイン王フェリペ二世は、ボスの死から10年ほど後に生まれていますが、ボスの作品を非常に愛し収集しました。
現在、ヒエロニムス・ボスの作品を最も多く有しているのが、マドリッドの「プラド美術館」であるのはその理由に依るのです。

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