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鑑定のプロも見抜けない…、本当にあった世紀の贋作事件!①

「偽物」この言葉には奇妙な魅力があります。
本物と贋作というこの2つの言葉は切っても切り離せない関係です。
数多の素晴らしい本物の作品には贋作も数多く存在します。
まるで本物が輝き放つ栄光にすがるかのように、贋作は憑きまとうのです。
今回はそんな贋作が引き起こした事件を2つ取り上げました。
人々を惑わした贋作の物語をご覧ください。

ナチスを騙したメーヘレン 【フェルメール贋作事件】

かつて世界的にも有名な贋作家としてその名を馳せたメーヘレン
彼はオランダ人です。
彼はフェルメールの絵画の贋作を描き、当時オランダの敵国であったナチス・ドイツにその絵を売りました。
当時フェルメールの絵はオランダの国宝でした。
贋作とは知らなかったオランダの警察は絵を売った彼を国家反逆罪として捕まえました。

ハン・ファン・メーヘレン (1945)


しかしながら、彼は「あれは自分が描いた贋作である」と主張しました。
メーヘレンは実際に法廷でフェルメールのタッチを真似て絵を描いて見せました。
結果、主張が認められ彼のナチス・ドイツへの絵画売却の件は無罪になりました。
しかしながらフェルメールの贋作を描いたことは事実です。
彼は禁固1年の詐欺罪の判決を受けました。


しかしながら事実は小説より奇なりとはよく言ったものです。
彼をナチス・ドイツを騙した男として英雄扱いする人々もいたそうです。

国すら騙した? 【永仁の壷事件】

舞台は戦後の日本。
永仁の壷事件は1960年に発覚した、古陶器の贋作事件。
この贋作の壷を作ったのは当時人間国宝に指定されていた加藤唐九郎という人物。

1959年に「永仁二年」(1294年)の銘を持つ瓶子(壺の形の一種)が鎌倉時代の貴重な傑作であるとして国の重要文化財に指定されました。
加藤唐九郎も当時の雑誌でこの壷は鎌倉時代のものであると述べました。
しかしながら、この陶器は実は贋作ではないのか?という噂が広がります。


そこで文化保護委員会はこの永仁の壷に対してエックス線蛍光分析を行いました。結果、この壷は現在の作品である事が発覚しました。
この壷は重要文化財の指定を外され、当時この壷の重文指定を推薦していた文部技官は辞任し責任をとりました。
また、加藤唐九郎も贋作が発覚したのち人間国宝の座を引き摺り下ろされました。

これが永仁の壷事件の概要です。
なお、この事件については今でも解明していない点が多く、真相は謎に包まれています。
また皮肉にも、この事件は加藤唐九郎が重要文化財レベルの作品を作れる陶芸家であると世間にアピールできる絶好の機会になりました。
加藤唐九郎は事件後、作品の創作に専念し1985年88歳でその生涯を閉じました。

あなたの周りにも贋作?

もし贋作だと知ってその作品を鑑賞したら、贋作っぽく見えるものです。
しかしながら、これが本物だと言われあなたの前に差し出されたならば、見抜くことはできるでしょうか?
もしかしてあなたが普段「本物」だと思って鑑賞している作品、贋作ではないと言い切ることはできないかもしれません。

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