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事件・悲劇・戦争…時代の闇を映し出す、社会風刺した絵画の意味とは…

社会批判や事件や惨劇を、画家たちは自分たちの得意な絵画で表現しメッセージを伝えようとしました。
混迷を深める現代社会の私たちに強く訴えかける、社会風刺の意味合いも込められた絵画を取り上げました。
絵画から画家たちの心の叫びを聞いてみましょう。

あなたは絵をどのように鑑賞していますか?
一枚一枚の絵には画家の魂が宿っているのです。

そして、絵画の中には社会に対する反感を鮮明に描き出したものもあります。
今回は、社会風刺の意味合いも込められた絵画を取り上げました。
絵画から画家たちの心の叫びを聞いてみましょう。

実際に起こった惨劇を風刺した衝撃作!ドーミエ

ドーミエは風刺版画家として有名です。
その技法はロートレックやゴッホは始め、多くの画家に影響を与えました。
今回紹介するのは「トランスノナン街」という絵画です。
目を背けたくなるほど、残酷な絵画です。
日本では伊丹市美術館に所蔵されています。

この絵画は、当時のフランス王ルイ・フリップの圧政に対応しようとした青年の秘密結社と正規軍の衝突の惨劇を風刺したものです。
この騒動では、過剰反応した兵士が多くの民間人を虐殺しました。
絵だけを見ると中心の男性にしか目が向かないと思いますが、注目すべきはその周りです。
痛たましい事件の恐怖と悲劇さを鮮明に描き出したドーミエの傑作です。

オノレ・ドーミエ《ガルガンチュア》ルイ・フィリップの七月王政を風刺した作品

愛の画家が描く反ナチズム!シャガール「白い磔形」

次に紹介するのはシャガールの隠れた秘作「白い磔形」です。
シャガールは愛と生の歓びを歌う、美しい作品が多いことで知られています。
しかしながら、この作品はどうでしょう。
絵画の中央で磔にされているのはキリストだと考えられています。
そして、その周りを覆う轟々たる悲劇。
この作品はどちらかと言えばシャガールらしくない作品です。
シャガールには愛をテーマにした作品が多く、その為に「愛の画家」との異名を持っているほどです。
しかし、この絵は愛とはかけ離れた悲劇を描いています。

Yury Pen《シャガール像》


シャガールはこの絵で何を伝えたかったのでしょうか?
当時はナチス・ドイツが世界を混乱の渦に巻き込みました。
多くのユダヤ人がナチスにより犠牲になったことは有名です。
ちなみにシャガールはユダヤ人であったことが知られています。
この作品でシャガールは、キリストにユダヤ人の犠牲を象徴させ、ユダヤ人の苦しみを鮮明に描き出していると考えられます。

政略結婚を風刺!ホガースの連作「当世風結婚」から「婚約万満整って」

ウィリアム・ホガース《『当世風の結婚 第二場』》1743年ごろ
William Hogarth [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons


ウィリアム・ホガースという画家をご存知でしょうか?
ホガースはロココ時代のイギリス人画家です。
彼が描いた有名な連作に「当世風結婚」という絵画があります。
「婚約万満整って」はその連作の第1場面として描かれた絵画です。

ウィリアム・ホガース《The Marriage Contract, Marriage à-la-mode series》1743年


この絵もまた社会風刺の絵画となっています。
この絵画は、落ちぶれた貴族と裕福な商人の娘との政略結婚を描いていると言われます。
この絵画の特徴は人物一人一人の心情を映し出している点です。
例えば、左側に椅子に座っている男女はこれから結婚する夫婦を示していると言われます。
しかし、お互いはそっぽを向いていますよね。
つまり、お互いに関する無関心ぶりを表していると考えられます。
このようにこの絵は当時の政略結婚を風刺しているのです。

絵はさまざまな意図を思って描かれます。
絵画に描かれていることの背景について知ることで、また新しい絵画の見方を模索できるのではないでしょうか。

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