漫画は世界中で愛される、海外でアートとして評価される日本の漫画たち
世界中にファン人口が広がる、日本の漫画。
ストーリーのある漫画は日本が発明したものでもありませんが、手塚治虫など偉大な作家を生んだことにより日本独特「漫画-MANGA-」の発展を遂げてきました。
世界でも大きく評価される、面白いということだけでなく、アートとして評価されている作品を3つほどご紹介しましょう。
世界中にファン人口が広がる、日本の漫画。
ストーリーのある漫画は日本が発明したものでもなく日本だけで発展したわけでもありませんが、手塚治虫など偉大な作家を生んだことにより日本独特の発展を遂げてきました。
世界でも大きく評価される、面白いということだけでなく、アートとして評価されている作品を3つほどご紹介しましょう。
世界に日本漫画の価値を示した「AKIRA」
欧州では、「AKIRA」は、欧州に日本漫画の価値を示したマイルストーン的作品といわれています。
1990年の完結から30年近く経っても、その価値はまったく減じていません。戦争によって荒廃した未来の都市で不良少年たちが超能力を武器に抗争する「AKIRA」の漫画世界は、いま読んでもスピーディーでドライでクールで、ぴーんと張り詰めた緊張感に満ちています。
サイバーな世界観と乾いた人間観、そして緻密な絵
大友克洋は、日本の漫画に革命的な影響を残した作家です。
彼が描く世界はからからに乾ききっていて、現代的でした。義理人情や身の回りの小さな幸せといったものに背を向けた世界を、素晴らしい作画技術で描ききってみせたのです。彼の作品を読んで、「ここに現代の漫画がある!」と読者は感じました。
彼の作品は海外に持っていっても、すぐさまそのまま通用したのです。これまで日本ならではの独特な閉鎖的な世界を描いていた日本の漫画が、時代の最先端に躍り出た!と、世界中のマンガ好きが日本の読者と同じように感じました。「AKIRA」はまたたくまに国際的名声を得ます。まさに快進撃でした。
壮大なダークファンタジー「ベルセルク」
2017年の現在も続いている作品の中で、海外でエンターテインメントとしてもアートとしても高い評価を得ている漫画として、「ベルセルク」の名が挙がるでしょう。作者は三浦建太郎。
魔の力を持つ怪物たちが徘徊する世界で、親友や仲間たちに裏切られて全てを失った傭兵ガッツが、復讐と償いのため旅する物語です。「ベルセルク」に熱烈な思い入れを持つ海外ファンは多いといわれています。
海外でウケる漫画はやっぱり絵が凄い
海外でアートとして評価される作品はやはり絵として評価される傾向が強く、「ベルセルク」もその典型だと思います。
不気味な魔の者を描く場面ではおそろしいほどの描き込みで、紙面がほぼ真っ黒になってしまっていることもあるほど。瘴気が見るものにも押し寄せてきそうな迫力があり、だからこそ、魔に抗う寡黙な主人公ガッツの、シブさとカッコよさが際立ちます。
濃密に構築された世界観は国境を越える、ということを証明している漫画だと思います。
終末の世界の空気感「ヨコハマ買い出し紀行」
三作目は、知る人ぞ知る名作「ヨコハマ買い出し紀行」です。作者は芦奈野ひとし。
三浦半島を舞台に、小さな喫茶店を営むロボットのアルファが、なにげない日常を過ごし周囲の人間やロボットと小さな交流を持つお話。お客さんと話をしたり、楽器を弾いたりコーヒーを淹れたり、本当になにげない話ですが、この漫画の凄さはこの日常の後ろにある世界観。
ヨコハマ買い出し紀行の世界は、「怒りの日」と呼ばれる悲劇により、実はもうほぼ滅んでいるのです。
読むにつれ切なさがつのってゆく
数えるほどしか人がおらず、あちこちが水没し経済もほぼ物々交換の状態になりつつある世界で、アルファも周囲の人々も明るくたくましく生きている……ように見えます。
しかしこの世界には未来はなく、懐かしい人々は少しずつ姿を消してゆきます。
アルファは死ぬこともできないまま、これからどうなっていくのか……漫画は何も語らず、澄んだ空がただ広がるだけです。読めば読むほどに、胸が締めつけられる「切なさ」が強まる漫画です。
謎だらけの世界をたんたんと語り継ぐこういう漫画が海外から評価されているのも、漫画というものの奥深さを物語っている気がしてなりません。
海外の読者は漫画をアートとして読む傾向が強く、日本の読者にない独特の視点を持っています。
いちど、彼らの目を通して読むつもりで、日本の漫画を読み直して見るのも面白いかもしれません。
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