細長い彫刻のジャコメッティ展! どこがスゴイのか魅力を5分でカンタン解説
20世紀を代表する彫刻家の没後半世紀を経た回顧展「ジャコメッティ展」が、2017年6月14日から9月4日まで国立新美術館で開催されます。
初期から晩年までのバリエーションあふれる作品が一堂に揃った展覧会。ここでは有名な細長い彫刻スタイルだけではない、各時代ごとの作品の魅力を簡単にご説明いたします。
20世紀を代表する彫刻家の没後半世紀を経た回顧展「ジャコメッティ展」が、2017年6月14日から9月4日まで国立新美術館で開催されます。
初期から晩年までのバリエーションあふれる作品が一堂に揃った展覧会。ここでは有名な細長い彫刻スタイルだけではない、各時代ごとの作品の魅力を簡単にご説明いたします。
20世紀初頭のモダニズムの影響を受けたオブジェの時代
画家の息子としてスイスで生まれたジャコメッティは、20歳でパリへ活動の場を移します。
ここで民俗学博物館で出会ったアフリカやオセアニア彫刻やキュビズムなどの影響を受けます。
彼の初のモニュメンタルな彫像で初の成功を収めた「女=スプーン」も、原始アフリカ彫刻の影響を受けた作品です。
豊饒の道具スプーンを女性の腹部に重ねた作品です。
死や孤独を表したシュールレアリズム
1925年頃から約10年シュールレアリズムに傾倒し、木、ガラス、ワイヤーなどを使った象徴的なオブジェを発表します。
2つの世界大戦に前後する時期を反映して、死や孤独、不安を感じさせられます。
マッチ棒みたいに小さな彫刻
1935年頃から、弟と妻をモデルにして製作を始めます。この時期の作品は、マッチ棒のような極小サイズの彫刻です。
同じモデルを同じ角度で、何度も根気よくジャコメッティが見たとおりに再現しようと試みると、不思議にもどんどん小さくなったのです。
細長い特徴的な彫刻スタイルの確立
第2次世界大戦のあと、小さかった彫刻が今度はどんどん細長く伸びていき、当時の恋人をモデルに「大きな像」が造られました。
「見えるがままに表現する」ためのジャコメッティ独自のスタイルが確立し、女性立像、歩く男、複数の群像などのシリーズが展開していきます。
特に妻アネットをモデルにした「ヴェネツィアの女」シリーズは、写実的な要素も加わった彼の集大成のような作品のひとつです。
「見ること」と「在ること」の矛盾を追求
実存主義を提唱したサルトルや矢内原伊作ら哲学者たちとも親交があったジャコメッティは、「見ること」と「在ること」の矛盾に深く苦悩した彫刻家です。虚飾を取り省き、本質に迫ろうと挑戦し続けました。
よけいなものを削ぎ落とされて極限まで引き伸ばされた細い体は、洋の東西も時代性もない、ジャコメッティがようやく辿り着いた表現方法なのです。
展覧会会場でジャコメッティが見たもの、見えるものを、じっくり観察してみてはいかがでしょうか。
国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展
展覧会情報
場所:国立新美術館 企画展示室1E
日程:2017年6月14日(水)〜9月4日(月)
開館時間:10時〜18時 (金・土曜日は20時まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日
国立新美術館公式サイト
http://www.nact.jp/
展覧会公式サイト
http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/
場所:豊田市美術館
日程:2017年10月14日(土)〜12月24日(日)
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