システィーナ礼拝堂の天井画に隠された、ミケランジェロの暗号
巨匠ミケランジェロの傑作「システィーナ礼拝堂」の天井画。天地創造、最後の審判、楽園を追放されたアダムとイブ、ノアの箱舟。
初めて絵筆を持ったミケランジェロが描いた天井画は、旧約聖書の「創世記」を主題とした超大作で、完成まで4年もの歳月を費やしました。
今回はミケランジェロの傑作、「システィーナ礼拝堂」天井画やその中に隠された暗号を読み解きます。
巨匠ミケランジェロの傑作「システィーナ礼拝堂」の天井画。天地創造、最後の審判、楽園を追放されたアダムとイブ、ノアの箱舟。
初めて絵筆を持ったミケランジェロが描いた天井画は、旧約聖書の「創世記」を主題とした超大作で、完成まで4年もの歳月を費やしました。
今回はミケランジェロの傑作、「システィーナ礼拝堂」天井画やその中に隠された暗号を読み解きます。
天地創造は3つの場面から構成される
まず世界の創造の3場面を、ミケランジェロは父なる神が空間を飛びながら、無から想像していく様子で表現しています。
最初の「光と闇の分離」は、天井で最も祭壇に近い場所に、神が闇の中から手で光を開きだしている情景。
続く「太陽と月の創造」は右手で中央にある黄色い太陽、左手で白い月を指で示します。
「大地と水の分離」は、天使を従えた神が水の上を飛んでいます。
アダムとイブ 世界で初めての男と女
続いて人類の始まりの3場面が天井の中央部分に描かれています。
有名な「アダムの創造」は左側のアダムの指に、天界から飛んできた神が指先で触れてエネルギーを吹き込む瞬間をとらえた傑作です。
一方、神はアダムのあばら骨からイブを作ったとする「イブの創造」ですが、イブが神に懇願しているような構図です。
その後「原罪と楽園追放」では、知恵の木を中心に2部構成になっています。
左側に女性の姿をして2人を誘惑する蛇、そして罪を犯した2人が剣を持った天使に楽園を追放される姿が描かれています。
ノアとその一族に仮託した人類の現状
ノアの物語は、3つの場面から構成され、一つ目は「ノアの燔祭」。ノアが洪水から逃れられたことを神に感謝して、祭壇の上に生贄の動物を捧げている図が現されています。
次に「大洪水」。非常に多くの人物がいくつかの集団に分かれ、迫る水から逃れようとしている情景です。この中で箱舟は嵐に襲われても人類救済のために揺らぐことのない教会とみなされています。
最後の入り口に最も近い部分には、「ノアの泥酔」と言われるエピソードで洪水の後、ワインを飲み過ぎて裸のまま眠るノアを見つけた息子のハムが、笑いながら他の兄弟を呼んできます。他の兄弟が裸の父親をマントで覆う仕草をしています。
ノアの箱舟に隠された暗号とは…
これまでが教会側の解釈ですが、この天井画は見れば見るほど不思議な情景も描かれています。
たとえば有名なノアの箱舟も、奥の箱舟が救われる教会で残りが滅びゆく人々にしては複雑な構成。手前の大地に家財道具のようなものを持ってたどり着いたような人々は、どう解釈するのでしょう。
よく見ると裸の人物像が多い中で、右側の沈みかけているテントには赤や黄色の高貴な色の衣服を着ている人物が描かれています。これはローマ法王で風に揺さぶられるテントこそが教会であるという解釈ができます。そして奥の箱舟は、まだ遠くにあって未知な新しい教会とも考えられます。あたかも、様々な暗号を見つけられるように描かれているようにも思えます。
ミケランジェロは法王庁の礼拝堂にキリストとは直接関係のないテーマを主題に、当時タブーであった多くの裸体像を描きました。
「太陽と月の創造」にも、左側に神らしき人物の裸の臀部が描かれています。
これまでのキリスト教中心の世界観に対する批判を、恐らく暗号という形で残したミケランジェロはまさしくルネッサンスを代表する芸術家だったのでしょう。
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