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バチカン美術館に行ったら絶対見るべき 現地在住キュレーターのおすすめ3つ

イタリアのバチカン美術館は、見どころがありすぎて「どこを見たらいいのかわからない!」ことも。
イタリア現地在住のキュレーターが、おすすめの作品を3つ紹介。
一番気になる「チケット予約」やツアー、アクセスの方法などもお教えいたします。


2006年に設立500年を祝った「バチカン美術館」。
ミケランジェロのパトロンであった法王ユリウス二世の古代彫刻のコレクションが母体となり、歴代の法王たちの美術コレクションが500年以上にわたって加わり続けました。
美術館の全行程は、なんと7キロメートル。ルーヴル美術館、大英博物館、メトロポリタン美術館に次いで、世界で4番目に訪問者数 が多い美術館です。
1日や2日ではとても見切れない作品数と質を誇るバチカン美術館ですが、とくに歴代の法王たちの権力を体感できる作品をご紹介いたします。

ラオコーン像

『ラオコーン像』


日本の世界史の教科書にも登場する「ラオコーン像」
バチカンの至宝ともいわれるこの古代彫刻の傑作は、「バチカン美術館」の設立にも深く関わっています。1506年1月14日、オッピオの丘の葡萄畑から、古代ギリシア時代の彫刻が発見されました。この報がパチカンにもたらされると、ユリウス二世はすぐにミケランジェロとジュリアーノ・ダ・サンガッロを現場に派遣、二人の意見を聞き、即購入を決めたと言われています。ユリウス二世は、この彫刻をバチカン宮殿内の庭園に飾りました。これが、バチカン美術館の発足につながったのです。当時の芸術家たちは、古代の彫刻のすばらしさに驚嘆し、創作意欲を失うほどだったと言います。そして、このあとも「ラオコーン像」は芸術家たちに大きな影響を与え続けました。

システィーナ礼拝堂

『アダムの創造』


バチカン美術館の目玉とも言うべき「システィーナ礼拝堂」。ローマ法王シクトゥス四世によって、1475年から建設が始まりました。天井にはミケランジェロが描いた「天地創造」、祭壇側には同じくミケランジェロの「最後の審判」、礼拝堂の両際の壁にはボッティチェッリ、ギルランダーイオ、ピントゥリッキオ、ペルジーノといったルネサンスの天才たちのフレスコ画が並ぶ贅沢な空間です。歴代の法王を選出する「コンクラーヴェ」が行われることでも有名なシスティーナ礼拝堂ですが、訪問者の多さから作品への悪影響が年々問題となっており、近年中に訪問者数が制限されるという噂もあります。2014年には、ミケランジェロの450年忌にあわせて礼拝堂内にLED昭明が設置されました。天才たちが500年前に描いた色を、オリジナルに近い色彩で鑑賞できるようになったのです。

アテネの学堂

ラファエッロ・サンティオ『アテナイの学堂』


こちらも必ず世界史の教科書に登場する作品です。20代半ばのラファエロは、1509年からバチカン宮殿内にフレスコ画を描きました。その中でも最も有名なのが「アテネの学堂」。それはこの作品の中に、当時の芸術家たちの肖像画が描かれているからといわれています。
作品の中央で右手を上に上げているのがプラトンでレオナルドをモデルに、作品の一番手前でほかの哲学者から離れて描かれているのがヘラクトレイトスに扮したミケランジェロ、右端でこちらを見つめているのが古代の画家アペレスとして描かれたラファエロ自身。作品中に描かれたのは、ラファエロの周辺にいた芸術家だけではなく、人文学者や王侯貴族もモデルになっているといわれていて、古代の学問の復興を謳歌するルネサンスの時代にふさわしい大作となっています。

バチカン美術館見学は予約がおすすめ

バチカン美術館の当日券を購入するためには、長蛇の列に並ぶ必要があります。これを避けるために、オンラインでの予約がおすすめです。必ず、バチカンの公式サイト (https://biglietteriamusei.vatican.va/musei/tickets/do ) でチケットを購入してください。25才までの学生であれば、訪問日に国際学生証( 日本の学生証は無効 ) の提示を条件に8ユーロの割引券が購入できます。
予約の場合、入場券16ユーロに予約料4ユーロが加算されますが、長蛇の列を避けるためには払う価値有り。その他、ガイド付ツアー、昼食付ツアー、庭園ツアーなどさまざまなメニューがありますので、時間や趣味に合わせてバチカン美術館を堪能できます。

国際学生証については、こちらを参照ください。
http://www.isicjapan.jp/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%AD%A6%E7%94%9F%E8%A8%BC/

バチカン美術館へのアクセス:
地下鉄A線オッタヴィアーノ駅あるいはチプロ駅から徒歩

住所:
Viale Vaticano, 00165 Roma

バチカン美術館公式ホームページ:
http://www.museivaticani.va/content/museivaticani/it.html

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