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ドラクロワの代表作ってわかる? 5分でわかるアート解説

ドラクロワと聞かれて、すぐに彼の作品を説明できますか?
キュレーターが「ドラクロワ」の有名な作品を3つ取り上げ、ご紹介します。
「5分でわかるアート解説」、ドラクロワの代表作を覚えて「アートのIQ」を上げましょう。

「野獣が怒り狂って描いた絵のようだ」
ドラフロワの絵画を見た人は、彼の絵をこう表現するのではないでしょうか。
ウジェーヌ・ドラクロワ(以後ドラクロワ)の有名な絵画「ドン・ジュアンの難破」
は人々が恐怖し、孤立し、飢えている情景をリアルに描き出しています。
ダイナミックに描かれたドラクロワの絵画は、まるで野獣が怒り狂って描いた絵であるかのように見た人々を圧倒します。
この絵を描いたドラクロワはどんな人物だったのでしょうか。彼の有名な作品を取り上げながら解説します。

ドラクロワとは、どのような画家だったか?

ドラクロワはフランスの19世紀ロマン主義を代表する画家です。
ロマン主義とは18世紀から19世紀前半にヨーロッパの影響を受けた諸地域で起こった精神運動の一つです。
ロマン主義の画家は、型にはまった表現ではなく、人間それぞれの個性や感動といった心の動きを自由に表現しようしました。
ドラクロワはロマン主義の旗手と言われるほどロマン主義において有名な画家です。
ドラクロワのダイナミックな画面構成と強い色彩によって、人間の激しい感情を大胆に表現しました。

Photography of Eugène Delacroix by Félix Nadar

ドラクロワ作品の傑作、怒りを表現した「キオス島の虐殺」

ウジェーヌ・ドラクロワ『キオス島の虐殺』(1824年、ルーヴル美術館所蔵)



代表作「キオス島の虐殺」
は、ドラクロワが1824年に完成させた有名な油絵。
現在はパリのルーブル美術館に所蔵されています。
当時オスマン帝国統治下のギリシアのキオス島にて、独立派を弾圧するためにトルコ軍が一般住民を含めて虐殺した事件の一場面を描いたものと言われます。

彼の情熱がほとばしるダイナミックな筆さばきは、当時の人々の感情を忠実に再現しています。
まるで野獣がトルコ軍の卑劣さに怒り狂って描いたかのように。

「キオス島の虐殺」が当時サロンに出品された時、大きな反響を呼びました。
当時は古典派と呼ばれる芸術の流派が世間の主流でした。
ドラクロワのような人間的な憤慨や、激情を鮮明に描く画家は斬新だったのです。
当然のことながら、ドラクロワに対する世間の意見は厳しく、この絵画は「絵画の虐殺だ!」や「ドラクロワはパリを焼き尽くす男だ!」と轟々たる非難を受けました。

しかし、この作品がロマン主義絵画の誕生のきっかけとなり、歴史的な絵画として後世に伝わることになります。

女神が民衆を導く有名な作品は、ドラクロワが描いたもの!

ウジェーヌ・ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』(1830年、ルーヴル美術館所蔵)



「民衆を導く自由の女神」
は、ご存知の方が多い作品ではないでしょうか?
「フランス7月革命」をテーマにしていることから、ロマン主義の代表作の一つとして有名です。
現在はパリのルーブル美術館に所蔵されています。

この絵画は自由の赤・白・青の三色(現在のフランス国旗の色)を表現豊かに使い描かれています。
ドラクロワはフランス7月革命で得た人々の自由を赤・白・青の三色を使い絵全体で表現しているのです。

「民衆を導く自由の女神」
では、ドラクロワは名もなき人達を主題として描きました。
民衆を主題として描く手法は当時としては斬新で、フランス絵画に大きな衝撃を与えました。

ドラクロワの名作を3つ、ご紹介しました。
ダイナックな情熱がほとばしる生々しい絵画を描かせたら、ドラクロワの右に出るものはいないでしょう。
ドラクロワの内に秘められた野獣の本能は、絵画を見る人々を釘付けにします。

ドラクロワの絵画の多くはフランスパリのルーブル美術館に所蔵されています。
パリを訪れる際はドラクロワの絵画を見に訪れてみては如何でしょうか?

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