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海外からも注目を浴びるアーティスト 深堀隆介の超絶金魚アート

俳句では「金魚」は夏の季語。やはり、泳ぐ姿が涼しげだからでしょう。
日本人に親しまれている金魚は、たびたび絵の題材にもなっていますが、実はひとり、金魚を生涯のテーマと決めて制作を続けている美術家がいます。
名は深堀隆介。今回は、唯一無二といっていい深堀アートをご紹介しましょう。

俳句では「金魚」は夏の季語。やはり、泳ぐ姿が涼しげだからでしょう。
日本人に親しまれている金魚は、たびたび絵の題材にもなっていますが、実はひとり、金魚を生涯のテーマと決めて制作を続けている美術家がいます。
名は深堀隆介。今回は、唯一無二といっていい深堀アートをご紹介しましょう。

透明な樹脂に閉じ込められた金魚

ぱっと見ると、普通に水の中に金魚がいるように見えます。少し近づいてみると、水に見えたのは透明な樹脂らしいことがわかります。ということは、金魚を樹脂の中に閉じ込めたのか。なんて酷いことを! ……と思うかもしれません。間近で見ても、樹脂の中にいるのは本物の金魚にしか見えないからです。

が、実はこの金魚は「描かれたもの」なのです。

立体的な人魚を「描く」ための驚愕の手法

樹脂の表面に金魚を描いただけなら、見る角度を少しでも変えれば描かれたものであることはすぐわかるでしょう。
ですが、深堀作品はそうではありません。見る角度を多少変えても、立体的な金魚そのものに見えるのです。
その秘密は、おそろしい手間を必要とする制作手法にありました。深堀は、樹脂のある層に金魚の一部だけ、例えばヒレの一部だけを描きます。そしてその上から、うすく樹脂を流し込みます。流し込んだ樹脂が固まったら、その上に、また金魚の別の一部を描きます。そしてまた樹脂を薄く流し込む……。そう、何層にも渡って少しずつ樹脂に絵を描いてゆくことで、立体的な金魚を作り上げているのです。誰も思いつかなかった、思いついても実行しようと考えるだけで気が遠くなるような根気のいる方法です。

静止した世界の中で金魚の妖しさと儚さが輝く

この深堀隆介の風変わりな手法が、ただ、金魚を立体的に描くためのテクニックだとしたら、「変わってるねえ」で終わってしまう話。ですが、実際に深堀の作品を見ると、そうではないことがわかるのです。
生き生きとしていながら完全に静止した、まるで時間をそこだけ止めたような水の中の金魚。そこには、金魚の持つ独特の妖しさと儚さが見事に表現されています。人工的に作り出された小さくて不思議な生き物の魅力が、人の手で作られたニセの魚とニセの水だからこそ輝くのです。金魚と手法が見事にマッチしているのがよくわかります。

何も持たなかった男は金魚に賭けた

なぜ、金魚なのか。深堀隆介は、自身のサイトで語っています。
芽が出ず美術の道を諦めようとしていた男が、なんとなく飼っていた金魚をあらためて見てみたとき、衝撃が走ったと深堀はいいます。

<「何故いままでその美しさに気がつかなかったのか。
何故いままでその狂気に気がつかなかったのか。
金魚には全てがある。だから美しいのだ。」
その瞬間、古来から続く金魚職人たちの無数の手が現れて消えた。>
引用:深堀隆介公式サイト http://goldfishing.info/

深堀が金魚に見ているのは、ただの小さな魚ではなく、「美しさ」と「狂気」、そしてその後ろにある人と魚の歴史だということがわかります。

金魚に全てを賭け、金魚を表現するためオリジナルな手法を編み出した、深堀隆介。
これからますます世界に知られてゆくこと間違いなしのアーティストです。

『金魚ノ歌』深堀隆介 (著)
発行元:河出書房新社

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