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ミラノのブレラ美術館に行ったら、絶対見るべき3つの作品のまとめ

イタリア・ミラノの中心地区にありながら、閑静でシックな通りにある「ブレラ美術館」。
美術の教科書にも登場する大作を所有するブレラ美術館の、ルネサンス絵画の傑作をご紹介いたします。

ミラノの中心地区にありながら、閑静でシックな通りにある「ブレラ美術館」
人通りもあまりないエレガントな通りを歩いていくと、世界で有数の美術品を有する美術館が突如現われるのです。
「ブレラ美術館」は、1809年にナポレオンの妻の連れ子ウージェーヌ・ボアルネによって開館されました。
イタリアには、歴史的建造物や名所が数々ありますが、ブレラ美術館はイタリア国内で20番目に訪問者数が多い観光地となっています。2015年には、カナダ系英国人ジェームス・ブラッドバーンが館長として就任し話題になりました。
美術の教科書にも登場する大作を所有するブレラ美術館の、ルネサンス絵画の傑作をご紹介いたします。

マンテーニャの傑作「死せるキリスト」

『死せるキリスト』 アンドレア・マンテーニャ c. 1480


マントヴァの宮廷で活躍したマンテーニャは、卓越した写実力で名前が知られた画家です。
ブレラ美術館に残る「死せるキリスト」は、十字架から降ろされたイエス・キリストが、足を画面手前に投げ出し横たわるという斬新な構図で、500年以上も前に描かれたとは思えない迫力。
「イエス・キリストの死」という、キリスト教会における最もドラマチックなシーンにおいても、マンテーニャはイエスを美化などせず、死して変色した皮膚、手足に無惨に残る釘の傷痕を非常なまでの写実で描き出しています。また、息子の死を悲しむ聖母マリアの顔にも深い皺が刻まれており、宗教画としての聖性ではなく人間の現実的な悲劇が写し出されたルネサンスの傑作なのです。

ナポレオン軍によって19世紀にミラノに運び込まれたカルロ・クリヴェッリの祭壇画

Cattedrale di S.Emidio,Ascoli Piceno


日本でも渋澤龍彦を初めとするファンが多いことで有名なカルロ・クリヴェッリ。
ヴェネツィアで生まれながら、人妻を盗んだため故国を追われ、マルケ州で活躍した15世紀の画家です。カルロ・クリヴェッリの名前は、実はそれほど知られていませんでした。1809年に、なぜかナポレオンの継子ウージェーヌ・ボアルネがマルケ州から13点にも及ぶクリヴェッリの作品を徴集。その多くは現在は世界中の美術館に散逸してしまいましたが、ブレラにも数点が残っています。イタリアの美術史家ロベルト・ロンギやフェデリーコ・ゼーリからも高く評価され、愛されたカルロ・クリヴェッリの作品の特徴、それはひたすら美しい聖母とそれを彩る数々の野菜や果物の対比です。聖母マリアは母性すら漂わせないクールビューティー、彼女を包む豪奢な衣装はその質感を目で実感できるほどの重厚さ。

ブレラ美術館に残る傑作「カメリーノの祭壇画」は、中心に聖母子、向かって右側に鍵を持つ聖人ピエトロと百合を持つ聖人ドメニコ、左側にはカメリーノの街の模型を抱える若き守護聖人ヴェナンツィオと頭にのこぎりが刺さる聖人ピエトロが描かれています。彼らの足下や頭上には、ゴロゴロと八百屋のように果物や野菜が描かれており、思わず苦笑してしまいますが、当時はこれらの一つ一つに意味がありました。
非現実的に長い聖母の指、聖ピエトロの紗のような白の布など、優雅の極地にありながら、静物画の写実性までが如実に描かれたクリヴェッリの傑作です。

バリバリの理系画家、ピエロ・デッラ・フランチェスカの「祭壇画」

Holy Conversation ピエロ・デラ・フランチェスカ c. 1472–1474


ピエロ・デッラ・フランチェスカは、15世紀に中部イタリアで活躍した画家。
生年も定かではないピエロ・デッラ・フランチェスカは、師が誰であったのかも謎に包まれたままです。ルネサンスの著名な画家たちの多くが、工房で「遠近法」を取得したのに対し、ピエロ・デッラ・フランチェスカはほぼ独学で「遠近法」を取得したといわれています。その抜群の構築力は、のちに「遠近法論」や「算術学」などの数学に関する著述を残したことからも彼の理論的な頭脳から生まれたことは明白です。数学に関する彼の才能はただのディレッタントに終わらず、教え子の中からルーカ・パチョーリという数学者を生み出しました。パチョーリはのちに、レオナルド・ダ・ヴィンチとともに幾何学の研究を行っており、ピエロ・デッラ・フランチェスカの数学的才能は脈々とレオナルドにまで伝わったことになります。

「ブレラの祭壇画」とか「モンテフェルトロの祭壇画」と呼ばれるデッラ・フランチェスカの作品には、彼が仕えたウルビーノの領主フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロが武装で聖母の前にひざまずいています。光と陰、人物の衣服の柔らかな襞、奥行きを感じさせる空間からは、デッラ・フランチェスカ特有の静謐が伝わります。聖母の頭上には、貝殻のようなドームが描かれ、そこからは卵が垂れています。絵画全体の調和を整えるような卵は、「イエスの復活」や「宇宙」「完璧」の象徴として当時は描かれていました。数学者としても一家を成したピエロ・デッラ・フランチェスカらしい空間を楽しむことができます。

ブレラ美術館情報

住所:Via Brera 28, 20121, Milan
アクセス:ミラノ地下鉄2番ランツァ( Lanza ) 駅から徒歩5分
     地下鉄3番モンテナポレオーネ ( Montenapoleone ) 駅から徒歩5分
公式ホームページ:http://pinacotecabrera.org/

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